| アートの仕事 太陽レクチャー・ブック004 | |
![]() | 会田 誠 池松 江美 (辛酸なめ子) 小谷 元彦 平凡社 2005-11 売り上げランキング : 186277 Amazonで詳しく見るby G-Tools |
本書は、アーティスト、写真家、デザイナー、ギャラリストによるレクチャーおよびインタヴュー集です。「アーティストになりたい」「アート関係の仕事につきたい」と思っている人に向けて、プロの方々に経験談を語ってもらい、何か指針やヒントやパワーやインスピレーションを与えてもらえたら、というのがこの講座の趣旨でした。
レクチャーでは、学生時代のことに始まり、どのような変遷を経て今日に至っているのかという軌跡、デビューのきっかけ、挫折と試行錯誤、軌道修正、転機、心境の変化、そういったことを皆さんに共通して詳しくうかがっています。追加インタヴューでは、それぞれの方の創作活動や作品について、さらに詳しくお話をうかがいました。
レクチャー01は、会田誠さん×池松江美(辛酸なめ子)さん×ギャラリストの藤城里香さん。芸達者にしてサービス精神の鬼のようなお三方は、緊迫感と脱力感が交錯する不思議なテンションで、息の合った絶妙なトークを見せてくれました。ユーモアとアイロニー満載です。
会田誠さんへのインタヴューでは、「生涯一河原乞食」というアーティストとしての基本的な姿勢、会田さんのとらえる日本の芸術の特徴などが、随所に自虐的なユーモアを織り交ぜつつ、真摯に語られています。
レクチャー02は、画家の小林孝亘さん×西村画廊の荻田徳稔さん。タイにアトリエをもち、ふだんはタイで制作していて、展覧会のときだけ年に1回くらい日本に帰ってくるという創作スタイル、それを可能にしているギャラリーとの関係などについて語られています。
小林孝亘さんへのインタヴューでは、リアルを追求するために省略して描くという、小林さん独特の味わい深い絵が生まれる背景についてくわしく語ってくれています。絵と同様、小林さんのトークにも飄々としたユーモアが漂っています。
レクチャー03は、都築響一さん。杉本博司さんの写真とチンパンジーのミッキくんの写真を比較したり、さまざまな作品を例に挙げつつ、都築さんならではのアート観がめくるめく展開します。「日本人はエロに関するクリエイティヴィティが世界一すごい」と主張する都築さんらしく、秘宝館、ラブホテル、イメクラなど、世間ではアートとは思われていないけれども日本人の創造性が素晴らしく発揮されたアレコレを紹介してくれています。また、都築さんを創作活動に駆り立てる原動力になっている怒りと使命感についても語ってくれました。
レクチャー04はグルーヴィジョンズの伊藤弘さん×MOTOKOさん。写真家とデザイナーの関係について、また、ファイン・アートのフィールドにこだわらずにさまざまなフィールドで創作活動をし、それを着実に仕事にしているスタンスについて、それぞれの考えが語られています。
グルーヴィジョンズ伊藤さんへのインタヴューでは、デザイナーにとって大事なことは何なのか、デザインとは何なのか、といった伊藤さんの考えや、ものづくりにおける基本的なスタンスについて、非常にクリアに語ってくれています。
MOTOKOさんへのインタヴューでは、大学卒業後、一時は普通に働いていたものの、やはり写真をやっていきたいと思い、ロンドンで写真を独学した経緯、MOTOKOさんならではの写真観、写真への思いについて語ってくれています。
レクチャー05は、八谷和彦さん×小谷元彦さん。デビューのきっかけから今日までの軌跡、創作の基本スタンス、それから予算の問題などお金の問題についても語ってくれました。「機能があって使えるものをつくる」という八谷さん。小谷元彦さんは、学生時代のことから、ヴェネツィア・ビエンナーレにも出品した映像作品〈ロンパース〉の制作裏話など。
八谷和彦さんへのインタヴューでは、テクノロジーと身体感覚、テクノロジーとコミュニケーションなど、八谷さんの作品に流れる一貫したテーマ、その奥に秘めた思想について語ってくださいました。
小谷元彦さんへのインタヴューは、仏像が彫りたかった高校生時代、初個展「ファントム・リム」から最近のガンダム展まで、これまでの活動を振り返りながら、それぞれの作品の意図、独自の美意識、美術への思いについて、真摯に語ってくれています。
とにかく皆さんの言霊がギッシリ詰まった、エネルギーに満ちた本になっています。将来について迷ったり悩んだりしているアーティストの卵たちに読んでもらえば、現状を打開するヒントがたくさん詰まっていると思いますし、非常に勇気づけられると思います。
編集者 平林 享子


